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モノクマ 「超高校級のバスケットボール部員、多可村悠斗が毒殺された――衆人監視の中で死んだ彼は被害者であると思われていたが、学級裁判の中で明らかになったのは彼こそ毒を盛った張本人であるという事実だった! ならばなぜ多可村は死んだのか! そしてクロの正体とは? 学級裁判は今まさに、佳境にさしかかろうとしていた――!」 相馬 「……うるせぇよ、さっきから」 鈴木 「クマさんぶつぶつ何言ってんの?」 モノクマ 「オマエラが議論を煮詰まらせた末に誰も何も話さなくなっちゃったからじゃないか! 間を埋めようと必至に空気を読むボクの気遣いが分かんないの!?」 由地 「気遣いはえーから、ちょっと訊きたいことあんねんけど」 モノクマ 「えー? ボクに? 事件のことは黙秘するよ?」 由地 「ちゃうちゃう。ちょっとしたルール確認や。もし、多可村が自分で誤って毒を摂取してしもたっちゅーおっちょこちょいやったとしたら、クロの判定はどないなるん?」 モノクマ 「その場合は、まぁ事故みたいなもんだけど、多可村クンが殺意をもって盛った毒で多可村クンが死んじゃったということで、クロは多可村クンです。多可村クンだけがおしおきされます。……ってもう死んじゃってるけどね」 白鷺 「……それが最も、考えられる死因なのだろうか……」 的目 「クロは、多可村くん……」 議論開始 PHASE 07 的目 「多可村くんは……毒を用いて人を殺そうとした。けれど誰かを殺す前に、何らかの理由で自分で自分が仕掛けた毒を摂取してしまい、被害者になってしまった……」 抹莉 「 【事故】 ……まぁ妥当なトコかにゃ?」 長谷部 「自業自得だっての。毒なんて盛りやがってあのヘタレノッポが……」 逆巻 「ヘタレかもしんねーけどよぉ……すっげーイイ奴だったぜ!? 俺のリハビリにも付き合うって言ってくれてさぁ……!」 白鷺 「良心の呵責に耐えかねて、 【自分の意思で毒をあおった】 ……ということはないだろうか……」 美芝 「ですが……コーヒーには薬品は入っていなかったゲホゴホ……のでは、なかったかしら……」 堤 「事故にしろ、自殺にしろ、 【多可村がクロ】 ということに違いは無いようだな……」 二ノ瀬 「そのようです。シアン化水素酸が多可村くんの隠し持っていた武器である以上、他人に触れる機会があったとは思えません」 黒田 「 【他に毒があるわけもないし】 ……あの青酸で死んだ以上、彼をクロとするしか、なさそうだね……」 相馬 (自分の持っていた毒で、多可村は死んだ……それを否定する小さな可能性を、俺は見つけている……) * 的目 「多可村くんは……毒を用いて人を殺そうとした。けれど誰かを殺す前に、何らかの理由で自分で自分が仕掛けた毒を摂取してしまい、被害者になってしまった……」 抹莉 「 【事故】 ……まぁ妥当なトコかにゃ?」 長谷部 「自業自得だっての。毒なんて盛りやがってあのヘタレノッポが……」 逆巻 「ヘタレかもしんねーけどよぉ……すっげーイイ奴だったぜ!? 俺のリハビリにも付き合うって言ってくれてさぁ……!」 白鷺 「良心の呵責に耐えかねて、 【自分の意思で毒をあおった】 ……ということはないだろうか……」 美芝 「ですが……コーヒーには薬品は入っていなかったゲホゴホ……のでは、なかったかしら……」 堤 「事故にしろ、自殺にしろ、 【多可村がクロ】 ということに違いは無いようだな……」 二ノ瀬 「そのようです。シアン化水素酸が多可村くんの隠し持っていた武器である以上、他人に触れる機会があったとは思えません」 黒田 「 【他に毒があるわけもないし】 ……あの青酸で死んだ以上、彼をクロとするしか、なさそうだね……」 ←「飴の袋」 相馬 「……いや、待ってくれ。クロを決める前に、これを見てほしいんだけど」 白鷺 「それは……」 逆巻 「……く、座ったままじゃ見えねぇ! くそ、車椅子め、立てねぇ足め! 立ってやる、気合で立ってやる、うおおおおお」 相馬 「ちょ、やめろバカ! 今からみんなに回すから!」 的目 「これは……飴の袋?」 箱崎 「封は切られて、中身もないようですが……」 抹莉 「うん? っていうか袋に描いてるマークって……」 黒田 「白衣と聴診器のモノクママーク……!?」 糸依 「って、なんだっけー?」 鈴木 「配られた武器にしかついてないレアマークだよイトヨリ! レアなんだよ!」 糸依 「そだっけ。まーなんでもいっか」 長谷部 「よくねーし。それって……その袋の中身が武器だったってことかよ?」 佐田 「甘い残り香しか感じないが……」 相馬 「つまりホントに飴が入ってたってことだな、佐田?」 佐田 「おそらくな」 相馬 「でも、袋には武器のマークだ。武器として使える飴……なぁ黒田、例えば、普通の高校生的に思いつく限りでいいけど……どんなものが考えられると思う?」 黒田 「……え、あ……」 少しうろたえ、おどおどと黒目をさまよわせ……それでも黒田は、おそらく超高校級の殺し屋として俺の問いに答えを出してくれた。 黒田 「毒入り……とかかな……」 鈴木 「毒? でも毒はタカムラが」 由地 「はいはーい、モノクマせんせー、質問やでー」 モノクマ 「またぁ? クマ使いが荒い学級だなぁ」 由地 「武器の中に、毒入りキャンディーなんてモンまであったんか?」 モノクマ 「それは裁判に深く関わる問題だからねぇ、黙秘しまーす。でもヒントを出すなら、白衣モノクママークは配布した武器以外に付いていることは絶対に無いし、毒物はシアン化水素酸だけでなく複数配った覚えがある、ってことかな!」 由地 「モノクマ……それヒントやない、答えや」 的目 「ちょっと待ってよ……ねぇ相馬くん、それ、どこで見つけたの?」 相馬 「事件後、キッチンでだ。多分ごみ箱に入ってたんだと思う……どこぞの誰かが車椅子で突っ込んで色々ひっくり返されてたけどな」 逆巻 「なんだそいつ迷惑だな車椅子で……って、ん?」 的目 「……なら、何? 多可村くんが売店のハサミを武器と偽って青酸を手放さなかったように、他の誰かも、別の物を武器だとでっちあげて、それを隠し持ってたってこと?」 抹莉 「まさにその通りじゃにゃい?」 的目 「……そんな」 相馬 「多可村のように、武器回収の前から殺意を抱き、そして多可村を殺した人間がいる――ってことだ」 議論開始 PHASE 08 箱崎 「ほ、ほんとに、そんな人が…… 【多可村さんの他にもいる】 のでしょうか」 的目 「…………」 長谷部 「お花畑委員長でも否定できないみたいだなまぁ当然だろ実際武器が転がってたんだから」 鈴木 「キッチンだっけ? それって、 【キッチンに置いてあった飴を、多可村が食べちゃった】 ってこと?」 抹莉 「キッチンで口に入れて、食堂で死んだ。ってことは周りはただの飴で、口に含んでる内に中に仕込まれた毒物が舌の上へ流れ出す代物……にゃんというサスペンスミステリー的凶器!」 美芝 「ううう……お、恐ろしすぎますわ……あわわ……」 由地 「いやいや、俺設営手伝ったけど、持ってきた売店の菓子類は、別に調理の必要ないし全部食堂に置いたで」 鈴木 「お菓子、由地が置いたんだー」 糸依 「へー」 由地 「……一応言うとくけど、置いたっちゅーても俺は毒入りキャンディなんか知らんで? 見てないで? ちゅーか、そもそも俺がクロやったら、キッチンにもテーブルにも無造作には置かれへんわ。白衣モノクママークなんぞ、それが武器を示すマークやなんて 【全員知っとることやろ】 」 抹莉 「せんせー、由地くんが自白しましたー」 長谷部 「投票するか」 由地 「ちょ、仮定の話やーん!!」 相馬 (悪ノリはともかく……とりあえず、あの矛盾点だけは論破させてもらおう) * 箱崎 「ほ、ほんとに、そんな人が…… 【多可村さんの他にもいる】 のでしょうか」 的目 「…………」 長谷部 「お花畑委員長でも否定できないみたいだなまぁ当然だろ実際武器が転がってたんだから」 鈴木 「キッチンだっけ? それって、 【キッチンに置いてあった飴を、多可村が食べちゃった】 ってこと?」 抹莉 「キッチンで口に入れて、食堂で死んだ。ってことは周りはただの飴で、口に含んでる内に中に仕込まれた毒物が舌の上へ流れ出す代物……にゃんというサスペンスミステリー的凶器!」 美芝 「ううう……お、恐ろしすぎますわ……あわわ……」 由地 「いやいや、俺設営手伝ったけど、持ってきた売店の菓子類は、別に調理の必要ないし全部食堂に置いたで」 鈴木 「お菓子、由地が置いたんだー」 糸依 「へー」 由地 「……一応言うとくけど、置いたっちゅーても俺は毒入りキャンディなんか知らんで? 見てないで? ちゅーか、そもそも俺がクロやったら、キッチンにもテーブルにも無造作には置かれへんわ。白衣モノクママークなんぞ、それが武器を示すマークやなんて 【全員知っとることやろ】 」 ←「武器回収の流れ」 相馬 「違うぞ由地。長谷部のハンマーで白衣モノクママークが武器の印だって気付いたけど、その後に来た二ノ瀬はそれを知らなかった。事件後までずっとな。 勿論さらにその後……今思えばハサミの調達のせいで最後にやってきた多可村も、マークのことは知らなかったはずだ」 黒田 「じゃあ……多可村くんは、毒入りキャンディーを見ても、それが危険な物だって気付けなかったってことだね……?」 由地 「もっかい仮定の話さしてもらうけど、俺がクロやったら、そういう何も知らん奴に直接渡すわ。夕食パーティっちゅー人のぎょうさんおるとこに放置して、誰かに『これ武器やー!』 って指摘でもされたら、全部おじゃんやもん」 堤 「誰も飴の存在に気付かなかったということは、犯人は多可村を狙い、彼に直接渡したということか……」 白鷺 「……そうか。しかも飴なら……多可村を殺すのに、うってつけかもしれない……」 鈴木 「うん? どういうこと?」 相馬 (うってつけ……そうだな……多可村なら、飴を口にする可能性が他の奴より格段に高い) ※コトダマから、証拠を提出してください。 * ←「多可村の趣向」 相馬 「元から甘党だが、不安や緊張を感じると特に多可村は甘いものを摂取せずにはいられなくなる。多可村に甘いものを渡せば、まず間違いなくそれは消費されたはずだ」 鈴木 「あ、そういえば、夕食パーティで揉めごとあったよね? マトメがハセベに怒ったやつ」 的目 「えっ、あ、あれはだって長谷部が、箱崎さんに文句を言うから……」 長谷部 「何、俺が揉めごと起こしてヘタレバスケ部のメンタル削って毒入りキャンディー食わせたって言いたいの」 相馬 「いや、それもキャンディーを食べた要因だったかもしれねぇけど……そもそも夕食パーティを仕切ることにも緊張してたし、閉じ込められてるこの状況からして、多可村は常に不安がってた。揉めごとがなくても甘味は口にしてたと思うぞ」 抹莉 「実際は、無差別殺人計画の緊張から飴食べちゃったんだろうけどねぇ」 長谷部 「自業自得」 箱崎 「決して許されない罪ですが……亡くなった方に暴言を投げるのは、あまり……」 長谷部 「は? 殺されかけたの俺なんだけど」 相馬 「……今は多可村の緊張の原因は置いとけよ。俺は、犯人が多可村が常々抱いてた不安を見越して、毒入りキャンディーを渡したってことが言いたいんだ」 白鷺 「……弱っていた者を狙うなど、卑劣な……一体誰が!」 佐田 「誰なんだ?」 相馬 「え」 逆巻 「んんー……」 黒田 「えっと……」 糸依 「誰だろ?」 再び、議論がぴたりと止まった瞬間だった。 二ノ瀬 「犯人の犯行はつまり、飴を渡しただけ、に尽きます。それは証拠が残ることとは思えません」 黒田 「目撃者も、いないんじゃ……特定のしようが……」 的目 「待って、犯人は武器じゃないものをロッカーに入れたってことよね? そこから考えれば……!」 抹莉 「ロープ入れた人にゃんて怪しいんじゃにゃい? マークもついてなければ、ロープなんて売店にありそうだし」 糸依 「そんなこと言われてもなー、実際ロープだったものはしゃーないじゃーん」 鈴木 「イトヨリ疑ってんの!?」 的目 「可能性を挙げてるだけよ! 他に手掛かりがないんだから……!」 俺はちらりと二ノ瀬を見た。彼女がそれぞれの武器を覚えていればと思ったが、最後から二番目に来た彼女には無理な話だ。 手詰まりなのか? ここまできて、結局犯人を特定できないのか? 俺たちは全員殺されるのか―― いつもの飄々とした声が喧々諤々とする場を支配したのは、俺がそう思い詰めた時だった。 由地 「なーなー、考えてみたら、犯人、すごいと思えへん?」 逆巻 「はぁ? いきなりなんだ! 多可村殺した奴がすごいわけないだろ!」 美芝 「な、何をおっしゃっているのですか……?」 由地 「いやー、度胸あるわーって思て。せやろ? 犯人は多可村に飴ちゃん渡した。そりゃあ実際多可村は素直に食べて死んでくれたけど、もし、誰かからこう聞いとったらどうすんの? 『白衣モノクマのマークは、武器を示すマークやで』 って」 的目 「……!」 由地 「昼間はみんなバラバラの自由行動や。多可村がいつどこでそれを知ってもおかしない。そんな状況でポンッと武器マーク入りの飴ちゃん渡すんは、ちょっと犯人肝座りすぎ……っていうかアホやろ」 堤 「多可村が情報を得る前……例えば武器回収の直後に渡したらどうだ?」 抹莉 「すぐ食べる保証はにゃいよ。実際多可村っちが食べたの夜だし」 黒田 「……渡した時は何も知らなくても、食べるまでの間に多可村くんがマークのことを知ってしまう可能性は十分ある。しかも彼がそれに気付いた瞬間、その人の殺意もバレてしまう」 白鷺 「毒物を食べさせようとしたなど、そんな危険人物は放っておけない。その瞬間、縛り上げることになっただろうな」 由地 「せやろー? リスクでかすぎやろー? そんないつ爆発するか分からん不発弾みたいなもん怖ーて怖ーてよぉ渡せんわ。せやさかい、俺は思うねん。犯人も、多可村と一緒やったんちゃうかなーって」 相馬 「一緒って……」 白衣モノクママークが武器を示す印だと、 多可村同様に、知らなかった? あの飴の袋があからさまに危険物だと主張していることに気付けず、 だから……何のリスクも計算することができずに、毒入りキャンディーを渡してしまえた? それって…… 相馬 「待てよ、由地……」 白衣モノクママークの意味を知らず、犯人になりえる人物。 そんなのは……一人しかいないじゃないか。 由地 「……誰が犯人やと思うの、相馬くん?」 真深にかぶったキャップの下で、由地の口がそう動いた後、口角を上げる。 わざわざ俺に答えさせる彼を睨みたいが、しかし、俺は堪えて目を閉じ、口を開いた。 犯人の名前を告げる。 そうしなければ、学級裁判は永遠に終わらないのだから。 →怪しい人物を指名しろ! * 相馬 「…………逆巻」 逆巻 「ん?」 相馬 「お前は……武器回収の場にいなかった。病室にいたんだから、当たり前だけど……だから、白衣モノクママークが武器にしか付いていないものだっていうあの時の話も、聞くことはできないよな?」 逆巻 「え? いやまぁ、そりゃ動けなかったし、そうだけどよ」 相馬 「……お前なら……毒入りキャンディーが、一目見て危険物だと分かるあからさまな武器だって、気付けないまま多可村に渡すことに……なったはずだよな」 的目 「ちょ、ちょっと……相馬くん? あなた、逆巻くんが犯人だって、そう言ってるの?」 相馬 「……」 白鷺 「相馬……きみたちは幼馴染みの親友じゃないか、どうして……」 逆巻 「…………えっ、俺、疑われてんの!? マジで!?」 鈴木 「もっと早く気付きなよサカマキ!」 長谷部 「……そもそもこの脳筋陸上バカジャージに犯行とか無理な気がすんの俺だけか」 抹莉 「っていうか、さっき相馬っち言ってたよね、『長谷部の後から来た二ノ瀬と多可村は、マークのことを知らなかった』って。二ノ瀬っちは事件後まで知らなかったとも言ってたよね? にゃのに、にゃんで彼女はスルー?」 相馬 「二ノ瀬も多可村同様、マークを知らなかったのは事実だけど……でも、二ノ瀬の持ってきた……というか着てきた武器を思い出してくれ」 佐田 「甲冑だな」 抹莉 「甲冑からセーラー服少女が出てくる様子はえろかったにゃ」 佐田 「うむ」 相馬 「じゃなくて! 多可村は青酸の代わりに売店のハサミを用意したけど、あんな甲冑、毒入りキャンディーの代わりとして調達することは不可能なんだよ」 的目 「た、確かに……」 美芝 「ケホン……あのマークも、兜のところにちゃんと、入っていましたしね」 黒田 「で、でも、なら逆巻くんは? 彼だって……えっと、彼の武器は……」 相馬 「白衣モノクママークが描かれた瓶と、それに入った錠剤型の毒薬。……俺が逆巻から預かってロッカーに入れたよ」 的目 「! だったら疑いは晴れたじゃない……!」 議論開始 PHASE 09 《 》内の言葉を記憶し、コトダマとして使用できます。 逆巻 「おう! 俺の武器は相馬の言う通り、モノクマの絵が描いてある 【瓶】 に入った 【錠剤】 型の毒薬だぜ! 白衣……は着てたっけか? 覚えてねーけど、相馬が言うんならそうだったんだろうな。えっと、武器を示すマークなんだっけ?」 白鷺 「マークが入ってるなら……」 鈴木 「サカマキ、シロじゃん! 良かったね!」 佐田 「そもそもベッドから動けぬ逆巻に、代わりの武器を用意できたとは思えぬしな」 美芝 「あの病室を拝見した限り、 《彼が手の届く範囲にある代わりになりそうな凶器》 もケホケホッ、見当たりませんでしたものね」 糸依 「 【見舞い品】 は山ほどあったけどねー」 白鷺 「私は 【昼食】 を彼に運んだが……」 的目 「……いえ、やっぱり二ノ瀬さん同様、無理なんじゃないかしら。逆巻くんに代わりの武器を用意することなんて」 白鷺 「ああ、私もそう思う。マークが入っている以上、あれが逆巻に配布された武器だ」 相馬 (……手の届く範囲に、代わりになりそうな凶器はなかった……本当にそうだろうか。本当に……) * 逆巻 「おう! 俺の武器は相馬の言う通り、モノクマの絵が描いてある 【瓶】 に入った 【錠剤】 型の毒薬だぜ!」 【錠剤】←《彼が手の届く範囲にある代わりになりそうな凶器》 相馬 「……なあ逆巻。中の錠剤は、本当に元々そこに入ってたものなのか?」 逆巻 「……え?」 的目 「何? どういうこと……?」 相馬 「白衣モノクママークがあった瓶は配布された物に違いない。なら、錠剤は? 例えば瓶にはもともと毒入りキャンディーが入っていて……それと錠剤を入れ替えたんじゃないのか? 代わりの凶器として」 箱崎 「で、ですが……その錠剤は、一体どうやって手に入れたのですか? 逆巻さんはベッドから動くことができないのでは……」 白鷺 「そうだ。車椅子で移動するのだって私が手を貸してのことだ。一人ではとても……」 相馬 「手の届く範囲で調達できたんだ。錠剤なら」 鈴木 「見舞い品や昼食の中に、毒薬錠剤があったってこと?」 相馬 「いや……全部違う。見舞い品も昼食も、武器回収の終わった後に病室に持ち込まれたものだ。関係がない。そしてあの錠剤は……逆巻が言ってるだけで、毒薬だなんて限らないってことだ」 糸依 「毒じゃない?」 相馬 「逆巻。お前、食後に薬、飲むように言われてたよな。それを命じられていたから、手術直後でも飯を食っても大丈夫なんだろうって俺は思って、堤と箱崎に作ってもらい、白鷺に運んでもらったんだ」 黒田 「! その薬を……瓶に?」 相馬 「目が覚めたばかりの逆巻の手の届く範囲にあったのは、毒入りキャンディー、それが入っていた瓶、そして自分に処方された薬……これぐらいだったんだと思う。その中で、逆巻はどうにかキャンディーを隠し持とうとしたかった」 逆巻 「相馬、何言って」 相馬 「勿論回収の件は逆巻の耳には入っていなかったが……武器が全員に配布されてることは知ってたよな。俺はこれが配布されたって堂々と見せた方が疑いの目は向かない。でも使うつもりの飴を見せるわけにはいかない。だからただの薬と、毒入りキャンディーを入れ替えたんだ」 逆巻 「ちょ、おい」 相馬 「お前は瓶を、多目的ホールで蹴り飛ばしてる……武器としてのみんなの印象も強いだろうそれに、お前は偽の武器を入れた……そうじゃないのか?」 逆巻 「いや、だから」 相馬 「いいから答えろ!!」 白鷺 「お……落ち着け、相馬」 黒田 「そうだよ、冷静に、相馬く」 逆巻 「だから聞けっつってんだろおおお!? ふざけんな相馬!! なんでオレが犯人扱いされてんだよおおおお!!」 黒田 「うわああああさ逆巻くんも落ち着いてえええええ」 鈴木 「クロダも落ち着きなよ!」 逆巻 「オレが、多可村を、殺した!? いくら相馬でも許さねーぞ!!」 相馬 「怒鳴る前に答えろっつってんだよ!」 逆巻 「怒鳴りたくもなるっつーの! ぜーんぶお前の想像だろ!」 相馬 「ああ、想像だ……だから、反論があるなら言えよバカ巻。……むしろ、言ってくれ……っ」 白鷺 「……相馬」 相馬 「お前が犯人じゃねぇなら、反論しろ!」 逆巻 「するっての! 反論しかねーっての! オレは犯人じゃねーからな!!」 議論開始 PHASE 09 逆巻 「俺が人を殺す人間に見えんのか? 今まで何年一緒にいるんだよ、んなことも分かんねーのかアホ相馬! ああああイライラするっモヤモヤするっ走りてええええええ!!」 由地 「反論になってないで逆巻くーん」 長谷部 「バカだってことは伝わるけどな」 逆巻 「大体オレ、足怪我してんだぜ? そりゃあ明日にでも立って、歩いて、全力でリハビリして世界新記録ばんばん出す予定だけど、今日は一歩も歩けない状態だぜ? それでも代わりの凶器は調達できたとか言うけど、さすがにこんなんで 【多可村に飴渡しにいけるわけねーだろ!】 」 白鷺 「……そうだな。車椅子は 【事件後】 にやっと私が持ってきたんだ。彼に 【一人で食堂まで行くのは無理だ】 」 逆巻 「それはオマエだって知ってんだろ相馬。病室にいたんだからよ!」 箱崎 「 【歩けない】 逆巻さんを疑うのは、やはり、少々難しいのではないでしょうか……」 糸依 「友達はさー、信じなきゃダメなんじゃないのー?」 逆巻 「目ぇ覚ませよおおおお! 相馬あああああ!!」 相馬 (俺だって信じたい、賛同したい、けど……!!) * 逆巻 「俺が人を殺す人間に見えんのか? 今まで何年一緒にいるんだよ、んなことも分かんねーのかアホ相馬! ああああイライラするっモヤモヤするっ走りてええええええ!!」 由地 「反論になってないで逆巻くーん」 長谷部 「バカだってことは伝わるけどな」 逆巻 「大体オレ、足怪我してんだぜ? そりゃあ明日にでも立って、歩いて、全力でリハビリして世界新記録ばんばん出す予定だけど、今日は一歩も歩けない状態だぜ? それでも代わりの凶器は調達できたとか言うけど、さすがにこんなんで 【多可村に飴渡しにいけるわけねーだろ!】 」 ←夕食パーティ 相馬 「目を覚ますのはてめぇだバカ巻……もっとマシな反論しろよ!」 逆巻 「っ!」 相馬 「お前が食堂に行くまでもなく、多可村は特別病室に訪ねてきてる。昼間に見舞ってくれたのと、夕食パーティの直前の二回もだ。二回も、お前には飴を渡すチャンスがあったんだ」 多可村 『うまくやれるかなとか、喧嘩にならないかなとか、俺なんかの考えにみんな来てくれるかなとか、考え始めると……ちょっと、具合が……』 相馬 『な、なんか食え多可村甘いモンなんでもあるから!』 逆巻 『甘いモン?』 相馬 『試合前とか緊張する時は、それ食ってリラックスするんだってよ』 逆巻 『なるほど! よっしゃなんでも持ってけ!』 相馬 「そうやって、昼間に見舞い品の菓子を渡した時か……」 多可村 『あ、俺の分のコップ、取りに来たんだ。マグカップ、きっちり十六個しかなくってさ』 相馬 「パーティ前に、多可村が忘れたお前がコップを手渡した時か……どちらかは分からない、けど、お前は、病室にいたままでも多可村に飴を渡せたんだよ!」 逆巻 「…………」 相馬 「反論しろ……もっと反論しろよ! 俺を論破しろ! じゃなきゃ、俺は……お前が犯人じゃないって思えねぇんだよ……!!」 逆巻 「…………は」 箱崎 「……え?」 鈴木 「うん?」 逆巻 「…………はっ、はは……あーははははははあああああ!!!」 白鷺 「さ……逆巻?」 糸依 「ぎゃああ逆巻がとちくるったぁあああ」 相馬 「…………さ……」 逆巻 「反論しろ? じゃなきゃ犯人じゃないって思えねー? そのわりにスカした顔で、ずばずば言ってんじゃねーか相馬あああ! 本気で疑ってるくせによく言うぜえええ!!」 患者着の上から羽織っていた赤ジャージがふわりと浮いたかと思うと、バッ、と勢いよく両袖が通される。 真っ赤な炎を燃え立たせるように、逆巻はちょうど対面に立つ俺を挑戦的に睨んでいた。 ――逆巻がギラギラと見据えるのは、いつだってゴールだけだった。 その顔を、俺は初めて真正面から受け止めていた。 逆巻 「はっ……クールぶっていつだってオレを上から見下ろして、好き勝手暴言吐いて叩いて飛び蹴りしたりしやがってえええ……その余裕ぶった態度、すっげームカついてたんだよおおおおお!!」 相馬 「……てめぇ」 逆巻 「望み通り反論してやるよおおおお! オマエに犯人だって決めつけられて、終わるのなんてゴメンだからなああああ!! オレの、ゴールは、ここじゃねえええええええええeええええ!!!」 逆巻の反論 PHASE 10 逆巻 「好き勝手言ってくれてたけど、相馬あ、さっきも言ったけど全部オマエの想像じゃねーか! 証拠もってこいよ証拠おおおお!!」 相馬 「……犯行が可能なのはお前だけだって言ってんだ。多可村に飴を、何の危機感もなく渡せたのも! 武器のマークを知らない人間で、回収用の武器をでっちあげられたのも! お前だけなんだ……!」 逆巻 「だからそんなの証拠になんねーって言ってんだあああ! えらそーに上から物言って、丸めこんで、こっちが言い返せば呆れてみせて……今回はそれで済むと思うなよアホ相馬がああああ!」 相馬 「逆巻っ、てめぇ……!」 逆巻 「はっ、また上から目線で呆れるんだろーけど、反論してやるよおおお! オレが見舞いに来た多可村に、甘いモンやったって言ったよな? でもオレ、他の奴らが見舞いに持ってきてくれた売店の菓子を、多可村にやったんだぜ? だったら、その見舞い品の中に、毒入りキャンディーが混ざってたってことじゃねーのおおお?」 相馬 「……!」 逆巻 「 【他の奴が、オレを毒で殺すために飴を紛れ込ませたんだ】。 それをオレは知らずに多可村に渡しちまった……もしそうだとしたら、オレは犯人か? 違うだろおおお! オレは何もやってねーどころか、もしかすると、命を狙われてた被害者だったかもしんねーんだよおおおおお!!」 相馬 「……逆巻、もういい」 逆巻 「オレは動けねー、歩けねー……殺すのにはうってつけだよなあああ。そう誰かが考えても、おかしくねーんじゃねえかって言ってんだよ相馬あああああ!!」 相馬 (もう黙れ……! オレは、お前にトドメをさすようなこと、言い斬りたくねぇんだよ……!! お前を殺そうとする奴なんて、いなかったことなんて……!!) ※コトダマを選択してください * 逆巻 「 【他の奴が、オレを毒で殺すために飴を紛れ込ませたんだ】。 それをオレは知らずに多可村に渡しちまった……もしそうだとしたら、オレは犯人か? 違うだろおおお! オレは何もやってねーどころか、もしかすると、命を狙われてた被害者だったかもしんねーんだよおおおおお!!」 ←「相馬のアリバイ」 相馬 「逆巻……その通りなんだよ」 逆巻 「……は?」 相馬 「“誰かを殺して退院するなら、動けないお前を狙うのが手っ取り早い。そう、誰かが考えてもおかしくない”……そんな話が、武器を回収した後に俺たちの間であったんだ」 逆巻 「……は……マジかよ?」 佐田 「うむ、由地が言い出してな」 由地 「ちょお、空気読んで黙っといてーや」 相馬 「武器を回収しても、人を殺せるものは身近にいくらでもある。抵抗できない逆巻なら、そういうもので簡単に殺せる……幼馴染みをそんな風に言われて、でもその可能性を否定しきれなくて、どうにもこうにも行かねぇ状況に苛ついて……俺はその場の全員に言ったんだ」 訝しむ逆巻へと、俺は顔を上げる。 相馬 「俺が逆巻について、ずっと病室にいる。そうすれば、誰にも逆巻は殺せないだろ……って」 逆巻 「……っ!」 白鷺 「勿論、私たちは分かっている。それが皆を拒絶したのではなく、万に一つの可能性でも、幼馴染みを危険に晒したくない思いから出た言葉だとな」 黒田 「うん……」 逆巻 「だから……オマエ、ずっと病室に……?」 目を大きく見開く逆巻に――トドメをさすのは、これからだった。 相馬 「……重要なのは、俺の言葉を全員が聞いてるということだ。お前以外の、全員が」 逆巻 「え?」 相馬 「十四人全員が、俺がずっと病室にいるのを知ってた。お前を殺させないために、目を光らせてるのを知ってたんだ。そんな場所に、見舞い品に分かりやす過ぎる毒入りキャンディーを仕込んで持ってくるか?」 逆巻 「……!」 相馬 「白衣モノクママークの意味を知ってる人間には、見つかればすぐに持ってきた人物が疑われるような毒入りキャンディーなんて、とても見舞い品には仕込めないんだよ。言っとくが、マークの意味を知らない多可村の武器はシアン化水素酸で、二ノ瀬は甲冑だ。キャンディーなんて手に入れようがないから除外だ」 逆巻 「ぐっ……」 相馬 「ありえないんだよ逆巻。俺が病室にいた以上、その理由を全員が知ってる以上、誰もお前を毒入りキャンディーなんかで殺そうとはしないんだよ!!」 逆巻 「……」 相馬 「多可村に毒入りキャンディーを渡せる人間は、マークの意味を知らないお前しかいない。そしてその飴は見舞い品に紛れ込んできたものなんかじゃなく、間違いなくお前に配布された、お前の武器なんだ……!!」 逆巻 「…………」 相馬 「何か反論があるなら言え。それでも俺は犯人じゃないって、反論があるなら、いくらでも聞いてやるから……」 逆巻 「………………」 相馬 「なんとか言え、反論しろ、逆巻……」 いつしか、場には俺の声しかしなくなっていた。 雑巾を絞り切るようにして逆巻に訴え続ける俺に、車椅子に沈み込んで俯く逆巻は何も答えない。 そんな俺たちに割って入れもできないのだろう、皆が皆、体のどこかが痛むような顔をして押し黙る中、 黒田 「……相馬くん」 黒縁眼鏡の奥の、殺し屋にしては感情的に歪む瞳が俺の視線を逆巻から外させた。 黒田 「逆巻くんに、もう反論は、無いと思うんだ」 相馬 「……黒田」 黒田が見つめる先で、赤いジャージははためかない。 相馬 「……なら、始めから終わりまで、事件のすべてはっきりさせよう……逆巻、お前がしたことも、全部」 俺がそう最後の一滴を絞りきっても、車椅子の上で、逆巻は何も言わなかった。 * クライマックス推理 Act.1 事件の発端は、モノクマによって武器が配られたことだった。 深夜から明け方にかけて各々がそれを受け取る中、状況に怯えていた多可村は、毒薬、シアン化水素酸を配られ遂に部屋から出てこなくなる。そして一人でいるうちに……殺意を芽生えさせてしまった。 一方モノクマによって大怪我を負わされた逆巻は、朝になってから目が覚め、武器配布を受けた。 毒入りキャンディーを隠し持つために白衣モノクママークの入った瓶からそれを抜き、代わりに自分用の錠剤を入れて偽装を行ったのはその直後だと思う。……俺がその後病室に行った時に、すぐに錠剤入り瓶を見せたからな。 誰にも知られずに、誰かを殺す……そのためには飴が自分の武器だと知られるわけにはいかなかったんだ。 Act.2 的目によって武器を回収する案が出され、俺たちは宿泊施設のロッカーに武器を持ち寄ることになった。 俺は病室を訪ね、すでに偽装された毒薬小瓶を逆巻から受け取り、ロッカーへ向かう。そこで白衣モノクママークのことを知ることになったが、その場にいなかった二ノ瀬、多可村、逆巻はそれを聞くことはできなかった。 部屋を訪ねた白鷺によって回収を知った多可村は、皆が宿泊施設へ向かった後、こっそり売店でハサミを調達する。 売店商品だとバレないようにすべて抜き取った後、最後に宿泊施設にやってきた多可村は、そのうちの一つを配布された武器だと偽ってロッカーに入れた。 そうして――多可村の手にはシアン化水素酸、逆巻の手には毒入りキャンディーが残されることになった。 Act.3 多可村の企画した夕食パーティは、最初から、殺人を実行するためのものだったんだろう。多可村はパーティの開催を告げるために逆巻の病室を二度訪れる。その際、彼が緊張すると甘いものを求める性質を持っていることを聞いた逆巻は、殺意を持って彼に毒入りキャンディーを手渡した。 そして多可村は、自分の計画を実行するためにパーティの準備に戻る。 飴を渡した逆巻も、渡された多可村も、白衣のモノクママークが武器を示すものだなんて気付かないまま。 Act.4 パーティが始まってしばらくした後、多可村は箱崎と堤をキッチンから遠ざけた。食後の飲み物をすべて自分で用意するためだ。 ティースプーンをシアン化水素酸に浸し、コップに差して、テーブルへ運ぶ。 誰かを殺すための作業だ、とてつもないストレスだったことは疑いようもない。緊張に襲われた多可村は逆巻にもらっていた飴を口に放り込み、食堂へと戻った。 Act.5 自分は何も飲まず、もしくは他の飲み物を口にしながら誰かがティースプーンを使うのを待つつもりだっただろうが、そんな多可村に白鷺が好意でコーヒーを注いだ。勿論スプーンを使うわけにはいかず、そのまま多可村はブラックコーヒーを飲むハメになる。 そんな中、スプーンを使ったのは長谷部だった。しかし、彼が被害者になるその前に、多可村の口の中のキャンディーから毒薬が流れ出した。コップを取り落とし、倒れる多可村に、長谷部もコーヒーに口をつけずに置く。 そうして多可村は、皆の前で、病室にいた犯人から遠く離れた場所で死に至ったんだ。 相馬 「これが、お前が殺意を抱いた結果だ……逆巻」 * 逆巻 「……そーだよ」 的目 「……え……」 逆巻 「オレが、多可村に毒入りの飴をやったんだよ! 多可村を殺したのは、オレ! 超高校級の陸上部員、逆巻出流だ!!」 白鷺 「逆、巻……」 的目 「そんな……」 逆巻 「こんなトコにいたくなかったんだよ、モノクマなんているこーんなトコにな! でも、バレちまったし……ほら! なんだっけ……投票? 犯人決めるヤツ! とっとと始めろっつーの!!」 相馬 「…………」 モノクマ 「うぷぷ……議論の結論、出ちゃったみたいですね。ではご期待に応えて、投票タイムといっちゃいましょう! オマエラ、お手元のスイッチで投票してください!」 円を描いて立つ俺たちに、ざわめきが広がる。ただ一人ふてくされたように頬杖をついているのは、車椅子に座っている逆巻だ。 その彼のデフォルメされた絵が描かれている赤いスイッチに俺は視線を落とし――奥歯を噛みしめた。 ぎりぎりと。 割れるほど。 モノクマ 「ほら、さっさと押してくれないと、学級裁判が終わりませんよ? タイムオーバーで全員おしおきにしちゃってもいいんですよー?」 急かすモノクマ、罪を認める逆巻、目の前のボタン―― 相馬 「…………くそ……っ!!」 憤りに耐えかねて吠えると共に、俺は拳をボタンに降り下ろした。 モノクマ 「さあ! 投票の結果、クロとなるのは誰なのか! そしてその結論は、正解なのか不正解なのか!? 発表のお時間です!!」 地下空間が、ふ、と暗くなる。 灯っていた照明が消え、代わりに点灯したスポットライトがモノクマの背後のスロットマシンを照らし出す。 マシンが掲げている文字は“VOTE”……結果。 ひとりでに回りだしたそれには、俺たち全員分のデフォルメイラストが描かれているようだった。やがてドラムロールが高鳴っていくにつれ、イラストが判別できないほど高速で回りだす。そして―― リールが三つとも、逆巻のイラストのところで立て続けに止まったかと思うと、“GUILTY”の文字が光を放ち、ファンファーレが鳴り響いた。 スリーセブン! 大当たり! とでも言うようにコインが流れ出し、そこにモノクマの癇に障る高笑いが重なる。 モノクマ 「おおーっ、大正解! なんとなんと、多可村クンを殺したクロは……逆巻出流クンでしたー!!」 正解と言われて、何を喜べばいいのか。 ここへ降りる際に由地が言った、“どう転んでも地獄”である学級裁判は、俺に、これ以上ない苦痛と憤りを残して終わりを告げた。 学級裁判 閉廷 ← back → ------------------------ |